ちょっとした判断ミスが大きな事故を招く可能性があるため、ヘリコプターのパイロットはしっかりと訓練をした人でなければなれません。操縦したいというような単純な気持ちでは、プロとして活躍するのは難しいでしょう。
ではどうすればヘリコプターのパイロットになれるのでしょうか?またどれくらいの難易度なのかも解説していきます。
目次
パイロットになるための一般的なルート
ヘリコプターのパイロットになるためにはいくつかのルートがありますが、一般的なのが学生のうちからパイロットを目指すという方法です。
その中でも大きく2つにルートが分岐します。
1.まずは学校を卒業してから自社パイロットの養成コースに入り、ライセンスを取得する方法です。基本的に大手であれば、応募資格に「大卒者」というルールがありますが、子会社の場合には高卒でも応募が可能という場合もあります。そのため大学には行っていないけれど、パイロットを目指したいという人にもチャンスがあるのです。
2.次に航空大学校に入学し、在学中にライセンスを取得するという方法です。これはいわゆる専門学校のようなもので、卒業後に航空会社への就職を目指します。
どちらにしてもライセンスを取得しなければパイロットにはなれないので、学生のうちから目指すのであれば、どちらの方法で学んでいくかを選ぶ必要があります。
航空大学校の倍率ってどれくらい?
専門学校というのは、その道を目指す人たちが集まるので、どうしても倍率が高くなってしまいます。これはどんな業界においても言えることですが、その中でも航空大学校というのは特に倍率が高く、難易度も高いという特徴があります。それは航空大学自体が日本国内にたくさんあるわけではないからです。
平成24年度のデータでは、受験者350名に対して、合格者は36名となっています。つまり約10倍近くの倍率があると言えます。学ぶことに集中できる環境が整っているため、基礎からしっかり学んでいきたいという人が集まりやすく、必然的に倍率も上がります。
もちろん専門的に学んだからと言って、就職が保証されているわけではありません。ただ航空大学校で学んだ生徒は、ヘリコプターのパイロットとしてだけではなく、官公庁や使用事業など、別の仕事に就ける可能性が高くなります。学んでいるうちに「自分には不向きだ」と気持ちが変わったとしても、視野を広げて就職活動ができるというメリットがあります。
自力でライセンス取得を目指すことも可能
学生から目指すというのが一般的なルートだと前述しましたが、もちろんそれだけがすべてではありません。
実はヘリコプターのパイロットになる条件の必須項目がライセンスの取得なので、自力でライセンスを取得したという人であれば、航空大学校に通ったり、自社養成を受けたりしなくても就職が可能なのです。
ではなぜそれが受け入れられるようになったのかということですが、これは格安航空会社が大きく影響していると言えます。大手の航空会社の場合、パイロットの養成に回せる費用があるので、しっかり学ぶ気があるのであれば育成費用を出すというところもあるでしょう。
しかし、それ以外の企業の場合、できるだけ育成費用をコストダウンしたいと思っている場合があります。特にパイロットの養成というのは莫大な費用がかかるので、パイロットを育てるためのお金を用意できる航空会社ばかりではないのです。
そこで着目したのが自力でライセンスを取得したパイロットです。彼らは自費で取得しているので、航空会社が費用を負担する必要がなくなります。こういった理由からライセンス取得前の人ではなく、ライセンス取得後の人を積極的に採用する航空会社も増えています。
パイロットの資格は難しい?
パイロットになるための試験は「定期運送用操縦士」という名称の資格試験となります。これは誰でも受けられる試験ではなく、受験資格というものが設けられています。21歳以上で、総飛行時間が1500時間以上という条件をクリアしていなければ、試験を受けることすらできません。
また総飛行時間にもいくつか条件があります。学科試験と実地試験の2種類があるので、パイロットとしての知識はもちろんのこと、実技もできなければなりません。
国家資格には様々なものがありますが、その中でも高難易度を誇る資格の1つとして挙げられます。同じように高難易度に位置する資格としては、医師や弁護士、税理士なども挙げられます。これらと同等のレベルに位置するので、間違いなく「難しい資格」と言えるでしょう。
自社養成パイロットは倍率が高い
パイロットとしての訓練を受ける方法として航空大学校があると前述しましたが、それ以外の方法として挙げられるのが自社養成です。
自社養成は、航空会社が独自にパイロットの養成をしている仕組みで、一般企業で言うOJTのようなものです。現場に身を置くことで様々なことを学び、専門スキルを磨いていきながらライセンスも取得してきます。
この2つは明らかに倍率が異なり、大体10倍前後の倍率になる航空大学校に対し、自社養成は100倍以上の倍率となることがあります。なぜこんなにも難易度が上がるのでしょうか?
まずは、就職先が決定しているということが理由として挙げられます。航空大学校と違い、自社養成はその会社内で就職するので、ライセンスを取得しパイロットとして認められれば、そのままその企業で活躍できます。
次に、正社員としてのお給料がもらえるということです。学ぶ立場であったとしても、社会的には1人の社員という扱いとなります。そのため毎月お給料をもらいながら訓練が受けられるというのが大きな魅力となっています。だからこそ必然的に受験者も多くなり、倍率が上がってしまうのです。
学びながらパイロット以外の仕事も考えてみたいという人であれば航空大学校の方が適していますし、就職先が決まっているという安定感がほしい人であれば自社養成の方が適していると言えます。
ヘリコプターのパイロットになるのは超難関
現代ではヘリコプターのパイロットが不足しているというのが問題視されています。それだけ難易度が高い狭き門だとも言えるのです。
ヘリコプターは人命救助などで出動することもあり、荷物だけではなく人を乗せることが多々あります。だからこそ命にかかわるという大きなリスクを理解しなければなりません。
しっかり学び、ライセンスを取得すれば活躍できる仕事なので、自分に合った方法を考えてみましょう。